一生に一度の誓いを、千三百年の神域で。
本朱に包まれ、神鹿と藤が見守る、世界遺産・春日大社の神前式。

1300年前の歴史を今につなぐ世界遺産の神社で伝統的な神前結婚式
朱色に染まる社殿と深い緑の森、そして神鹿たちに囲まれた幻想的な舞台が、
かけがえのない挙式を彩ります。
春日大社は西暦768年、奈良時代に創建され、「古都奈良の文化財」として1998年に世界遺産に登録されました。
日本で唯一、純度100%の朱塗りの社殿があり、日本一の灯籠数と神鹿との共存という世界でも唯一の景観が広がっています。
さらに、1000年以上もの間、伐採も狩猟も禁じられている神域、春日山原始林の清らかな空気が訪れる人々の心を癒します。
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本朱が輝く“常若”の神域
春日大社の社殿を彩る鮮やかな朱色は、ただの美しさではありません。
それは太陽の光や火を象徴し、邪気や災厄を払う神聖な色として、古代より神社建築に用いられてきました。中でも春日大社が使用するのは、日本でも極めて珍しい純度100%の「本朱」。この高価で希少な赤は、「高貴な深みのある朱色」と称され、春日大社の象徴的存在となっています。
創建以来、春日大社は20年に一度の「式年造替」により、本殿をはじめとする重要な社殿の塗り替えと屋根の葺き替えを繰り返してきました。これは建物を美しく保つだけでなく、「常に若くある=常若(とこわか)」という神道の根本思想を体現する伝統です。
本朱の塗装は、硫黄と水銀の化合物である「丹(に)」を使い、にかわを加えて職人が練り上げるという古来の技法に基づいて手作業で行われます。この塗装が許されているのは、春日大社の御本殿4棟と、摂社である若宮神社の御社殿だけ。60を超す摂社・末社の中でも、特別な格式を持つ5棟に限られています。他の社殿は橙色の丹塗りであることからも、この本朱の存在がいかに貴重かがわかります。
また、春日大社は「平安の正倉院」とも称されるほど、刀剣・甲冑などの国宝を多数所蔵しています。中でも国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は、当時の最高峰の工芸技術を示す美術品で、神様への最上級の奉納品とされています。
1300年近い歴史の中で、本朱の鮮やかさと深さを守り続ける春日大社。その美しさは、神聖な空間を守る色としてだけでなく、日本の信仰・文化・技術の結晶ともいえます。

灯籠に込められた祈りと信仰の光
春日大社の境内を彩る約3,000基の灯籠は、信仰の証そのものです。石灯籠が約2,000基、釣燈籠が約1,000基。これらは、平安時代末期から今日に至るまで、家内安全、商売繁盛、武運長久、先祖の冥福向上など、さまざまな願いを込めて人々が奉納してきたものです。
春日大社では、神様の前だけでなく、御本社と摂社・若宮をつなぐ参道「御間道(おあいみち)」も神聖な空間とされてきました。鎌倉時代末期から、この道にも石灯籠が立ち並びはじめ、やがて境内全体へと広がっていきます。この風習が全国の社寺に広まり、やがて多くの神社仏閣で参道に灯籠を並べる文化が根付いていきました。つまり、参道に灯籠を立てる風習の発祥が春日大社なのです。
春日大社の灯籠は、ただ飾られているのではなく、年に数回、実際に灯される特別な夜があります。それが2月の節分と、8月14日・15日に行われる「万燈籠(まんとうろう)」です。境内全ての灯籠に一斉に火が灯されると、闇の中に揺らめく無数のともし火が神域を幻想的な光に包み込みます。この荘厳な光景は、現代においても多くの人々の心を打つ神聖な行事となっています。
また、灯籠の一つひとつにも物語があります。境内の石灯籠の多くには「春日社」と刻まれていますが、ごくわずか15基だけ、「春日大明神」の文字がある灯籠が存在します。これを**一晩で3基見つけると“長者になれる”**という言い伝えもあり、訪れた際には灯籠の文字にもぜひ注目してみてください。
かつては江戸時代まで、これらの灯籠すべてに毎日火をともしていたといわれています。人々の祈りとともに受け継がれ、守られてきた灯籠は、今も春日大社の静寂な森の中で、神への信仰と願いの灯火として、時代を超えて息づいています。

神の使い ― 春日大社と鹿の物語
春日大社のはじまりは、西暦768年、奈良の御蓋山(みかさやま)の頂上「浮雲峰(うきぐものみね)」に、武神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が降臨したことにさかのぼります。
この神が茨城県の鹿島から、白鹿に乗ってやって来たという伝承があり、それ以来、鹿は「神の使い(神鹿/しんろく)」として、この地で特別な存在として大切にされてきました。
春日大社の創建を支え、信仰を深めたのが、奈良時代から平安時代にかけて絶大な権勢を誇った藤原氏です。
藤原氏にとって春日大社は「氏神」ともいえる存在であり、朝廷でも実権を握るほどの力を持っていましたが、鹿に出会うと輿(こし)から降り、頭を下げて礼を尽くすほど、その神聖さを重んじていました。
中世以降、鹿を傷つけたり殺したりすることは「死罪」に値する重罪とされ、春日大社の境内、さらには奈良一帯で鹿は徹底して守られてきました。
これは単なる文化的な保護ではなく、神域の秩序と神の意志を守る行為でもありました。
このような背景から、奈良公園や春日大社の周辺には、現在でも約1,000頭を超える野生の鹿が人と共に生きています。
鹿たちは国の天然記念物にも指定されており、「神鹿」としての伝統を今に伝える存在です。春日大社と鹿の物語は、1300年の時を超えて受け継がれる信仰と自然との共生の象徴。
人々が神を敬い、神の使いである鹿を慈しんできた歴史は、今もこの神域の中に息づいています。

春日山原始林 1000年守られ続く「生きた信仰の森」
春日大社の背後、東側に広がる「春日山原始林(かすがやまげんしりん)」は、神の宿る山=御蓋山(みかさやま)を中心とする神域として、狩猟・伐採が1000年以上にわたり禁じられてきた森です。人の手がほとんど加えられることなく守られてきたこの森は、日本古来の自然崇拝や神道の信仰と深く結びついています。
春日山原始林は、ただの原生林ではありません。
それは「信仰によって守られた自然」であり、春日大社という宗教施設とともに、神聖な空間として大切にされ続けてきた特別な森です。このように宗教的価値と生態系の保全が長期間にわたって両立してきた事例は、世界でも極めてまれであり、1998年にユネスコ世界遺産「古都奈良の文化財」の一つとして登録されました。
この森には、照葉樹を中心に多様な植物が生い茂り、野生の鹿や鳥類、昆虫なども数多く生息しています。中でも、春日大社にまつわる伝承で重要な存在である鹿たちにとっても、この森は安住の地となっており、まさに「人と自然と神」が共に生きる象徴です。春日山原始林は、“自然と共に生きる”という日本人の精神文化を体現した場所。
この森を歩けば、遥か昔の人々が抱いた自然への畏敬や、神々とのつながりを、五感で感じることができるでしょう。

春日信仰の広がりと春日大社の総本宮としての役割
奈良・春日大社は、全国に約3,000社ある「春日神社(春日社)」の総本宮として知られています。その信仰が全国へと広がっていった最大の理由は、春日大社の神々を他の地へ分霊する「勧請(かんじょう)」という神道の習わしにありました。
春日大社に祀られる四柱の神(武甕槌命〈たけみかづちのみこと〉など)は、奈良時代に藤原氏の氏神として深く信仰されていました。藤原氏は天皇家と姻戚関係を築きながら、朝廷で絶大な影響力を持ち、政治の中心にいました。そのため、藤原氏が崇敬する春日大社もまた、貴族社会全体から自然と篤く信仰されていきます。
この流れの中で、各地に春日大社の神々を分霊して祀る「春日社」が次々に建てられていきました。特に、藤原氏の力が及ぶ地域や、朝廷の影響が強い地方では「春日信仰を取り入れること」が政治的な権威や文化的なステータスともなったのです。
やがて、12世紀ごろになると、貴族に代わって台頭した武士階級の間でも春日信仰が広がります。武甕槌命は武神としても知られ、武芸上達や勝負運の神として武家からの信仰を集めました。
さらに時代が下ると、信仰は庶民の間にも根づき、家内安全や五穀豊穣を願う身近な神として、春日社は日本各地に広まっていきます。
こうして、春日大社は「春日信仰の源」であり、総本宮としての役割を果たし続けてきたのです。現在も、全国各地の春日社では、春日大社を本社と仰ぎ、春日の神々への信仰を今に伝えています。

春日大社と藤 “藤の社”に咲く、五月だけの神聖な美
春日大社の境内を彩る美しい藤の花は、5月にだけ咲き誇る、春日ならではの特別な風景です。
この地に藤が多く見られる理由は、春日大社を創建した藤原氏の「藤」との深いつながりにあります。藤原氏の家紋は「藤の花」、そして春日大社の社紋にも藤が使われており、藤は神聖な植物として崇敬されてきました。そのため、境内の藤は信仰・象徴・自然美のすべてを備えた、春日大社に欠かせない存在となっているのです。
特に有名なのが、南門を入ってすぐ左手にある藤棚に咲く「砂ずりの藤」。地面の砂にすれるほど長く垂れ下がる花房は、優雅で神秘的な美しさを放ち、訪れる人々を魅了します。春日大社の藤の中でもとりわけ古く、銘木として長年大切に守られてきたものです。
さらに、境内にある「萬葉植物園」では、約20品種・200本もの藤が晩春の空を彩ります。万葉の時代から続く自然の美が、今も変わらず息づいています。
春日大社の藤は、ただの花ではなく、歴史と信仰が宿る神聖な花。その優雅な姿が見られるのは、毎年5月だけ。ぜひこの季節に、“藤の社”春日大社を訪れてみてください。
